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【特集記事】イスラム教 Vol.19-「テロとの戦い」

【特集記事】イスラム教 Vol.19-「テロとの戦い」

 現在、テロの脅威が世界的に高まっています。 2001年9月11日に発生したいわゆる「9.11」以降、世界中でテロとの戦いが懸念課題になっており、9.11から16年以上たった今も解決の糸口は見つかっていません。

 9.11を起こしたのはイスラム過激派組織の「アルカイダ」で、首謀者であったウサマ・ビン・ラディンは2011年に米軍の作戦によってパキスタン領内で殺害されています。 しかし、アルカイダや首謀者を殺害しても、新たなイスラム過激派によるテロの脅威は依然として世界情勢に影を落としています。

 テロリストの多くは中東出身のイスラム教徒です。 このことがアメリカをはじめ、イスラム圏外の人々をイスラム恐怖症を生み出し、多くのテロリストではないイスラム教徒に対しても「テロリストなのでは?」という偏見を生み出してしまっています。

 ここで考えてみたいのは、「テロリストではないイスラム教徒は過激派に対して何を思うのか?」ということです。

 テロの脅威は欧米にのみで高まっているものではありません。 過激派組織が自爆攻撃などを行う主な場所は「中東地域」です。 イラクやアフガン、イエメンやリビアなどの大半がイスラム教徒である国々であり、その犠牲者の多くもイスラム教徒なのです。

 多くのイスラム教徒はテロリストでもなければ、過激派の行うテロも支持していません。 理由は先述の通り、自分たちも犠牲になる可能性があるからです。 一般的に考えれば、自分や友人、家族が巻き添えになる可能性のあるテロ攻撃を支持しないという当たり前の感情をテロリストではないイスラム教徒の人々も持っています。 ただ残念ながら、イスラム教徒とあまり関わったことがないと、どうしても偏見で人を決めつけてしまう傾向が人間にはあります。

 多くのイスラム教徒がテロリストではない事、そしてテロに反対していること、そのテロの多くの犠牲者がイスラム教徒であること。 これらをもう一度確かめる必要があるのだと思います。

写真はイラクの幹線道路上の検問所に停車していたイラク政府軍の戦闘用車両。 車の上部には戦闘に備えて機銃が装備されている。


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